ミュンヘン、ベルリン、ミュンヘン、クラクフ、ワルシャワ、そしてもう一度ベルリン。
私は西欧ではなく、あえてこの少しニッチな街々を旅してきた。
記号化された観光地から離れ、
「誰かにとって主役ではない風景」の中で、
被写体を見つけたかった。
フランクルの『夜と霧』、ジョン・ハートフィールドの反ナチス・フォトモンタージュ、そして各地に残る“負の遺産”。
ポーランドではアウシュヴィッツ、カジミエシュ、プラガ地区を。
ベルリンではノイケルンやクロイツベルクを歩いた。
どこも、中心から少し はずれ ている。
けれどそこにこそ、街の息づかいがあると感じた。
表紙の写真は、ベルリンではなくワルシャワでの写真になる。
かつて王宮地区とプラガを結んでいた橋の上で、シャッターを切った。
フィルムのコマがずれ、偶然重なったこの一枚。
狙ったわけではないが、プラガと王宮という相反する存在を一画に閉じ込めていた。
帰国後、現像されたネガを見て驚いた。
人や場所、それぞれ周縁を追いかけ続けてきた旅の中で、いつしか主流と交差する瞬間に辿り着いていた。
一ヶ月の旅の果てに見た、この偶然の写真が、私の答え。